なんと前述の通り建築主様の条件はないんです。これが事細か建築主様の境遇や現況にも条件が付いていた10年特例制度との大きな違いです。次にお土地の条件を見てみましょう。
10年特例制度と比べての大きな違いは区域指定制度が利用出来るエリアは各行政市町村が定めているところです。また、区域指定制度で定められたエリアは比較的市街化区域から近いエリアも多く、物件によっては利便性にも優れたものも存在します。その上、誰でも住宅が建てられる市街化区域に存在する戸建用地よりも比較的安価になりやすいので、お土地の取得費用を抑える事も見込めるかもしれません。ここで、両制度の物件と市街化区域の物件の3つを比較してみましょう。あくまで担当者の正直な感想になりますので、一個人の意見程度と受け取って頂けると幸いです。
都市計画 | 市街化区域 | 市街化調整区域 | 市街化調整区域 | |||
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利用頻度 | - | 区域指定制度 | 10年特例制度 | |||
取得費用 | △ | 誰でも家を建てられる事もあり、費用は高い | ▲ | 必要面積が300㎡以上と定められている為、費用がかさむ場合も | ◎ | 場所によって住宅を建てられる方が限られ、お値段が安めになる事が多い |
土地面積 | △ | 面積が比較的小さくなりやすく、大きい場合は費用がかさむ | ◎ | 300㎡以上が条件の為、庭や駐車スペースにも困らない | ◎ | 200㎡以上が条件の為、庭や駐車スペースにも困らない |
周辺環境 (賑やかが好き) |
◎ | 市街化区域の名前の通り市街地が多く便利 | ○ | 物件によっては市街化区域の近隣のものがあるが、お値段は高め | ▲ | 市街化区域の近隣物件は多くない |
周辺環境 (自然が好き) |
▲ | 自然が良い市街化区域があまり多くなく探すのが難しいが、あれば比較的安価 | ○ | 郊外の物件も比較的多く、この場合安めのお値段にも期待出来る | ◎ | 郊外の物件が多く自然や静かな環境で生活したい方にはピッタリ |
利便性 | ◎ | 上下水道、都市ガスが整備されているエリアが多い | ○ | 市街化区域の近隣物件も多い為、既存ライフラインを利用出来る場合も | ▲ | インフラ整備がなされていない物件も多々あり、別途費用がかかる場合も |
もちろん物件によって異なる場合は多々有ります。ただ、大まかに両制度を比べた場合の大きな差として見えるのは費用面についてです。区域指定制度は必要な土地面積も300㎡(約90.8坪)と従来ある戸建用地よりも大きな土地面積を要します。その上、条件が合う方でなければ住宅が建築出来ない10年特例制度と比べて幅広い方が住宅を建設するチャンスがあるのでお土地の値段も若干高くなり、取得費用がかかる可能性は高くなります。ただし、面積にもよりますが市街化区域でお土地を購入するより取得費用を抑える事は出来るはずです。
担当 平和田 健二(弊社 宅地建物取引士)